施策立案時の5つのプロセス

マーケティング施策を講じる際に、事前にその施策の妥当性の確認を行います。具体的には、主に以下の5つのプロセスを経て、ゴールの達成に向けて行う施策の精査を行っているのではないでしょうか。

  1. ゴールの設定
  2. 課題の設定
  3. 課題解決仮説の設定
  4. その仮説に紐づく具体施策の設定
  5. 施策コストとリターンの試算

この過程において根拠データ収集は必要不可欠です。なぜそこを課題と捉えたのか、仮説の根拠は何なのかがクリアにならないとゴール達成に向けて正しいアプローチなのかが見えないからです。
私がプランニング/データ分析を担うチームの業務支援をさせていただく中で、施策立案から実行までに必要以上に時間を費やしてしまうケースが多いように感じます。

納得追求と根拠データ追加の効果は薄い?

施策実行のストッパーになるポイントは主に2点です。1つ目は施策の内容に関わるもので、施策のデザインや文言、サイズなどディテールに対するこだわり、それに対する根拠データの追加。2つ目は施策のコストパフォーマンスに関わるもので、施策のコストと効果の緻密性の追求、それに対する根拠データの追加です。
限られた資産の中でより高い成果を出す必要があるため、どちらもこだわるのは当然だとは思います。ただし、コストの観点、施策の勝率や改善率の観点、事業/人の成長速度の観点で考えると、必要以上な納得度の追求にプラスの効果は薄いと感じています。

施策ディテールの追求 vs アクション量

私自身マーケティング施策をお客さまへ提案するチームの責任者の立場だった時を思い返すと、納得できない施策を提案、実行することに対して、かなりの抵抗がありました。
そのため、5つのプロセスを事細かに確認し、1~3のストーリー設計のためのデータの出し直し、4の後押しとなるデータの追加&施策の変更、5が最もらしくなるようなデータ出しなどなどかなりの労力をかけていました。
お客様からの施策の承認確度は上がったと思います。しかし、それに比例して提案する施策の勝率や改善率が上がったか、成果を出せる速度が上がったかというと必ずしもそうではありませんでした。
成果を出すことが価値であり、その価値に対して寄与することに対してより多くの時間を割くべきだと思います。そうではないことに対して大量の時間を割いていること、それによりメンバーも疲弊していることに気づきました。
(本質的に意味がある確信が持てていないことをやらされているため、それはそうなりますよね…)
そのため4については、基本的には動かすスタンスとし、不確実だがベターだと思う内容がある場合は、施策を止める/変更するのではなく、追加するようにし、極力実行を優先するようにしました。そうすると、以下のようなプラスの気付きがありました。

  • 腹落ちしきっていない施策でも意外と当たる
  • 打ち手数に比例して改善施策数も増加する
  • 施策実施後のデータから軌道修正、ブラッシュアップした追加施策の勝率は高い

分析やフィードバック、資料の修正にかけていたコストを施策の実行にスライドすることで、ユーザー理解も進み、より速く高い成果をだせる体質にすること=コストパフォーマンス(価値)を高めることがでました。
メンバーも自分で立案した施策に対してユーザーにフィードバックをもらえるようになるので、腹落ちも高まり、受け入れやすくなったのか、自ら考え、変化していくようなり、成長速度も格段に上がっていったように思います。
わからないことに対して確信を得るために時間を割くよりも、やってみて確信に変え、次につなげるアプローチの方が結果的に成果が上がり、コストパフォーマンスも高いアプローチだと考えるに至りました。

施策のコストパフォーマンスの追求 vs アクション量

施策を講じるのには相応のコスト(時間とお金)がかかります。そのため、できる限り低いコストで高い成果が望める施策の実行が求められます。施策のコストは比較的試算しやすいですが、どれくらい成果がでるのかを試算するのは至難の業です。
様々なデータを取得し、改善見込み係数をかける等をして数値化をしたこともありますが、こちらもわからないことに対して、確認を得るために時間を割くため、上述(施策ディテールの追求)と同じことが言えます。どんなに確からしい予測値を立てても、施策は100%当たるわけではなく、施策の箇所や内容と改善率に規則性もないため、この精度を突き詰めることにコストを割くよりも実行した方が結果的に速く成果が上がり、コストパフォーマンスも高いアプローチだと考えるに至りました。

より速く成長させる攻めのPDCA

上述のような背景からも確証がないものに対して時間を割くよりも、やってみてそこから考えるアプローチの方が結果として成果と人の成長速度の向上につながり、コストパフォーマンス高くなると考えています。データについても事前、事後の2種類あり、実行することで得られる事後データの方がより明確なユーザーの反応が得られるため、仮説の精度を高めていくことができます。課題の捉えどころ、仮説に大きな認識のズレがなければ、施策のアクションの数、実行速度を重視することをオススメします。施策に対する妥当性(納得度)は求めても50%程度と割り切り、アクション重視の攻めのPDCAを行っていきましょう。